Ownership Transfer
バイクの名義変更を自分でやる——原付・軽二輪・小型二輪の必要書類と手順
バイクの名義変更は、書類さえそろえば窓口で30分から1時間です。ただし排気量の区分によって、窓口も手続きの名前も、根拠になる条文も変わります。まず区分を決めてから、自分の区分のところだけ読んでください。
原付(〜125cc)は市区町村役場で「廃車申告+標識交付申請」。軽二輪(126〜250cc)は運輸支局で「軽自動車届出済証記入申請」。小型二輪(250cc超)は運輸支局で「自動車検査証の変更記録」を15日以内。3区分とも、実印・印鑑証明書・車庫証明は要りません。
まず自分のバイクの区分を決める
バイクの手続きは、排気量の区分で窓口も手続きの名前も変わります。ここを間違えると、そもそも受け付けてもらえません。まず表で自分の位置を確認してください。
| 区分 | 排気量 | 窓口 | 名義変更にあたる手続き | 車検 | 車庫証明 |
|---|---|---|---|---|---|
| 原付 原動機付自転車 | 〜125cc | 市区町村役場 | 廃車申告+標識交付申請 | なし | 不要 |
| 軽二輪 二輪の軽自動車 | 126〜250cc | 運輸支局 | 軽自動車届出済証記入申請 | なし | 不要 |
| 小型二輪 二輪の小型自動車 | 250cc超 | 運輸支局 | 自動車検査証の変更記録 | あり | 不要 |
排気量は、手元の書類に書かれている数字で判断します。カタログ上の「250ccクラス」といった言い方ではありません。実際の排気量が248ccや249ccであることは珍しくなく、書類にもその数字が入ります。
- 標識交付証明書を持っている → 原付(125cc以下)
- 軽自動車届出済証を持っている → 軽二輪(126〜250cc)
- 自動車検査証(ICカード)を持っている → 小型二輪(250cc超)
法律上の区切りは「総排気量0.250リットル以下」なので、250.0ccは軽二輪です。区分の詳しい判定は 原付・軽二輪・小型二輪の3つの区分 にまとめました。ボアアップして排気量が変わっている場合は、名義変更の前に排気量変更の手続きが必要です。
バイクに「移転登録」は存在しません
四輪の名義変更は「移転登録」と呼びます。ところがバイクには、排気量にかかわらず「登録」という制度が使われていません。ここが四輪との最大の違いで、必要書類の少なさもここから来ています。
自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。……)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
「二輪の小型自動車」=250cc超のバイクが、条文で登録の対象から外されています。軽自動車(軽二輪を含む)も同じです。登録の対象でない以上、移転登録(同法第13条)も変更登録(同法第12条)も適用されません。
では何をするのか。分かれ目は「車検があるかどうか」です。
- 小型二輪(250cc超)には車検があります。車検があるということは自動車検査証(車検証)があるということで、名義はそこに記録されています。だから名義変更は「自動車検査証の変更記録」(法第67条第1項)になります。
- 軽二輪(126〜250cc)には車検がありません。代わりに「軽自動車届出済証」という書面があり、運輸支局に届け出て車両番号の指定を受ける仕組みです(法第97条の3第1項)。名義変更は「軽自動車届出済証記入申請」になります。
- 原付は、そもそも道路運送車両法の「自動車」ですらありません。同法第2条第2項が「次項に規定する原動機付自転車以外のもの」と定義しているためです。原付のナンバーは登録ではなく、市区町村が軽自動車税のために交付している標識です。
四輪の移転登録が実印と印鑑証明書を求めるのは、登録が所有権の対抗要件の制度(法第5条)だからです。バイクは登録の枠外なので、この厳格さが持ち込まれません。3区分とも認印で足ります。「バイクの名義変更に印鑑証明が要る」と説明された場合、それは四輪の話と混同されています。
原付(〜125cc)の名義変更
原付には「名義変更」という手続きがありません。あるのは次の2つで、旧ナンバーを一度返して新しいナンバーを取り直す形になります。
ナンバープレートを返納し、廃車申告受付書をもらいます。
受付書と譲渡証明書を出して、新しいナンバーと標識交付証明書をもらいます。
したがって市区町村をまたぐ場合、ナンバーは必ず変わります。四輪のように「名義だけ変えてナンバーはそのまま」ということはできません。同じ市区町村の中での名義変更は、①②を同時に受け付けて番号を引き継ぐ自治体と、番号が変わる自治体があります。
ステップ①で持っていくもの(旧所有者)
- ナンバープレート(標識)——返納します。外して持参してください
- 標識交付証明書——紛失していても多くの自治体で受け付けます
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 印鑑(認印。不要な自治体も多い)
ステップ②で持っていくもの(新所有者)
- 廃車申告受付書——ステップ①でもらったもの。これが無いと進みません
- 譲渡証明書——自治体様式のことも多い(書き方はこちら)
- 本人確認書類・印鑑(認印)
「相手がやってくれるだろう」と任せると、翌年の4月にあなたに納税通知書が届きます。原付の税は4月1日時点の所有者に課されます(地方税法第449条)。廃車申告が出ていなければ、市区町村の帳簿ではあなたが所有者のままです。廃車申告は郵送で受け付けている自治体が多いので、遠方でもできます。
プラスドライバー1本で外れることがほとんどですが、ボルトが錆びていると回りません。当日、役場の駐車場でボルトが折れて詰む人がいます。前日に潤滑剤を吹いて、外せることを確かめておいてください。
前の持ち主が廃車申告をしてくれない場合でも、多くの自治体は譲渡証明書と現物のナンバープレートがあれば受け付けます。市区町村をまたぐ場合は、新しい市区町村の窓口で「旧市の廃車申告受付書がありません」と伝えてください。旧市に照会して処理する運用をしている自治体が多くあります。
軽二輪(126〜250cc)の名義変更
126〜250ccのバイクは、運輸支局で軽自動車届出済証の「記入」を受けます。窓口では「名義変更をしたいのですが」で通じますが、申請書の名前は「軽自動車届出済証記入申請書」です。
検査対象外軽自動車の使用者は、軽自動車届出済証の記載事項について変更があつたときは、その日から十五日以内に、当該事項の変更について、運輸監理部長又は運輸支局長が行う軽自動車届出済証の記入を受けなければならない。
四輪の軽自動車は軽自動車検査協会が窓口ですが、軽二輪(バイク)は運輸支局です。「軽」という字のせいで、よく間違えられます。
持っていくもの
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 軽自動車届出済証 | 原本。これが無いと始まりません |
| 譲渡証明書 | 旧所有者の署名または記名押印 |
| 新所有者の住所を証明する書面 | 住民票(発行後3か月以内)など |
| 印鑑 | 認印で可(実印は不要) |
| 自賠責保険証明書 | 有効なもの。提示は法定の義務です |
| ナンバープレート+現車 | 支局をまたぐ場合のみ |
同じ運輸支局の管内で名義だけ変わる場合、ナンバーは変わりません。現車を持っていく必要もありません。管轄が変わる場合だけ、その場でプレートを付け替えるためにバイクごと行きます。名義変更前でも、旧ナンバーと有効な自賠責があれば公道を走れるので、自走で問題ありません。
四輪の普通車は後ろのナンバーに封印が付いていて、自分で外せません(法第11条)。軽二輪・小型二輪には封印がありません。法第11条は「登録自動車」の規定だからです。プラスドライバーと10mmのレンチを持っていってください。
手続きが終わったら、同じ建物の中にある軽自動車税(種別割)の申告窓口に必ず寄ってください。ここを飛ばすと、翌年度の納税通知書が旧所有者に行きます。
小型二輪(250cc超)の名義変更
250ccを超えるバイクの名義変更は、自動車検査証の変更記録です。
自動車の使用者は、自動車検査証記録事項について変更があつたときは、その事由があつた日から十五日以内に、当該変更について、国土交通大臣が行う自動車検査証の変更記録を受けなければならない。
窓口の申請書は「自動車検査証記入申請書」という名前で置かれていることが多く、法律上の呼び名(変更記録)と窓口の呼び名(記入申請)が違います。用紙を探すときに迷うところです。
持っていくもの
- 自動車検査証(ICカード型の電子車検証)——原本
- 譲渡証明書——旧所有者の署名または記名押印
- 新所有者の住所を証明する書面——住民票(発行後3か月以内)など
- 印鑑(認印で可)/自賠責保険証明書(有効なもの)
- ナンバープレート+現車——支局をまたぐ場合のみ
道路運送車両法第62条第5項は「継続検査を申請しようとする場合において、第六十七条第一項の規定による自動車検査証の変更記録の申請をすべき事由があるときは、あらかじめ、その申請をしなければならない」と定めています。先に変更記録、あとで継続検査です。同じ日に両方やるなら、窓口で最初にそう伝えてください。詳しくは バイクのユーザー車検 へ。
車検が切れていても名義変更はできます。ただし公道を走れないので、現車の持ち込みが必要なとき(ナンバーが変わるとき)は、トラックに積むか、市区町村で仮ナンバー(臨時運行許可番号標)を取ってください。
所有者と使用者が違うとき(ローン中)
車検証の「所有者」欄に販売店やクレジット会社の名前が入っている場合は、四輪の所有権留保と同じ状態です。完済して、所有者から所有権解除の書類をもらってから手続きします。「所有者は親のまま、使う人だけ変えたい」という場合は、譲渡ではないので譲渡証明書は不要で、代わりに所有者の委任状が要ります。
3区分に共通すること
① 車庫証明は要りません
排気量にかかわらず、バイクに車庫証明(保管場所証明・保管場所届出)は不要です。根拠は自動車の保管場所の確保等に関する法律第2条第1号で、「二輪の小型自動車、二輪の軽自動車及び二輪の小型特殊自動車を除く」と明文で外されています。原付にいたっては、そもそもこの法律の入口に立っていません。理由の詳しい説明はこちら。
② 自賠責保険の名義も変えます
自賠責は車両に付いてくる保険です。売り主が3年契約で2年残っていれば、その2年は買い主が使えます。中古で買うときは、届出済証や検査証と一緒に自賠責保険証明書も必ず受け取ってください。
名義変更が済んだら、契約している保険会社(代理店・共済)で契約者・被保険者の変更をします。自動車損害賠償保障法第7条第2項が「記載事項について変更があつたときは……その変更についての記入を受けなければならない」と義務づけています。手数料はかかりません。自賠責の詳しい話はこちら。
自動車損害賠償保障法第20条第1号は、車両番号・標識の番号を契約上の「危険に関する重要な事項」と定めています。原付の名義変更ではナンバーが必ず変わります。手続きが終わったその足で保険の窓口へ行ってください。
③ 税の申告を忘れない
運輸支局で書面を直しただけでは、税の側は自動では動きません。支局内(または隣接)の軽自動車税(種別割)の申告窓口で申告書を出してください。ここを飛ばすと納税通知書が前の所有者・前の住所に届きます。滞納になると、小型二輪は車検が通らなくなります(法第97条の2)。
費用はいくらかかるか
バイクの名義変更は、四輪よりずっと安く済みます。四輪の移転登録には登録手数料700円がかかりますが、軽二輪の届出には「登録手数料」という考え方そのものがありません。
| 手続き | 費用の目安 |
|---|---|
| 原付の廃車申告 | 無料(多くの自治体) |
| 原付の標識交付申請 | 無料〜数百円(ナンバープレート代) |
| 軽二輪の記入申請 | 無料(用紙代のみ) |
| 小型二輪の変更記録 | 無料〜数百円 |
| ナンバープレート代(軽二輪・小型二輪) | 500〜600円程度 |
| 住民票 | 300円程度 |
名義変更では自動車重量税はかかりません。重量税がかかるのは、小型二輪の車検のときと、軽二輪で新しく車両番号の指定を受けるときだけです(金額はこちら)。
代行手数料の相場は1万円前後です。実費が実質ゼロ〜千円台なので、その差がまるごと代行料ということになります。窓口の実作業は30分から1時間です。
期限と、守らなかったときどうなるか
| 区分 | 期限 | 根拠 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| 原付 | 市区町村の条例による(多くは15日以内) | 各市町村条例 | 条例による |
| 軽二輪 | 15日以内 | 施行規則第63条の5第1項 | 直接の罰則規定は無い |
| 小型二輪 | 15日以内 | 法第67条第1項 | 30万円以下の罰金(法第110条第1号) |
意外に知られていませんが、軽二輪だけは少し様子が違います。15日以内という期限は施行規則第63条の5第1項が定めていますが、この規則違反そのものを罰する条文は置かれていません。罰則が用意されているのは、そもそも届出をせずに車両番号の指定を受けないまま走った場合(法第97条の3第1項違反=30万円以下の罰金)と、車両番号標を表示しないで走った場合(法第73条第1項違反=50万円以下の罰金)です。
名義がそのままだと、翌年度の軽自動車税の納税通知書は前の所有者に届き続けます。税金は罰則の有無とは無関係に発生します。前の持ち主に迷惑がかかり、いずれ必ずもめます。買ったらすぐにやってください。
なお、四輪の名義変更をしなかった場合の罰則は50万円以下(法第109条第2号)ですが、これは移転登録の規定違反です。バイクには移転登録がないので、この条文は当たりません。