User Inspection
バイクのユーザー車検を自分でやる——予約から検査ラインまでの一日
ユーザー車検は、バイク屋に頼まず自分で運輸支局に持ち込んで継続検査を受けることです。特別な資格は要りません。1回やれば、次からは1時間で終わります。順調なら所要1〜2時間、法定費用は約15,000円です。
車検があるのは250cc超だけ。有効期間は初回3年・以後2年。予約は「自動車検査インターネット予約システム」で、初めてなら1ラウンドを取ってください(落ちても同じ日に再検査できます)。🔴 車検の日に新しい自賠責が始まっていることと、軽自動車税の納税証明書——この2つを落とすと当日その場で止まります。
車検があるのは250cc超だけ
車検(継続検査)があるのは、小型二輪=250cc超のバイクだけです。原付にも軽二輪にも車検はありません。
自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
括弧の中で「検査対象外軽自動車」=軽二輪が除かれています。だから126〜250ccのバイクには車検証がなく、代わりに軽自動車届出済証があるわけです(区分の説明)。
有効期間は「初回3年、以後2年」
自動車検査証の有効期間は、旅客を運送する自動車運送事業の用に供する自動車、貨物の運送の用に供する自動車及び国土交通省令で定める自家用自動車であつて、検査対象軽自動車以外のものにあつては一年、その他の自動車にあつては二年とする。
2 次の各号に掲げる自動車について、初めて……自動車検査証を交付する場合においては、……二 前項の規定により自動車検査証の有効期間を二年とされる自動車のうち自家用乗用自動車……及び二輪の小型自動車であるもの 三年
新車で買った1回目の車検 → 3年後
2回目以降 → 2年ごと
買った日から2年ではありません。検査標章(車検ステッカー)で満了時期を確認してください。⚠ 電子車検証(ICカード)は券面に有効期間が印刷されていません。ICチップの中にあり、確認するには専用アプリかカードリーダーが要ります。「書いていない」と焦る人がいますが、仕様です。
ユーザー車検とは何か
バイク屋に頼まず、自分で運輸支局に持ち込んで継続検査を受けることです。特別な資格は要りません。道路運送車両法第62条第1項が「自動車の使用者は……当該自動車を提示して、国土交通大臣の行う継続検査を受けなければならない」と定めているだけで、業者を通せとは書いていません。
| 業者に頼む | ユーザー車検 | |
|---|---|---|
| 法定費用(重量税・自賠責・検査手数料) | 約15,000円 | 約15,000円(同じ) |
| 代行手数料・点検整備費用 | 1.5万〜4万円 | 0円(自分で整備する場合) |
浮くのは代行手数料と点検整備の工賃です。法定費用は誰がやっても変わりません。
車検は「その日その時点で保安基準に適合しているか」を見るだけで、次の2年を保証するものではありません。通ればいいという発想でブレーキパッドが限界のまま乗るのは危険です。ユーザー車検で浮いたお金は、消耗品の交換に回してください。
名義変更や住所変更もあるなら、順番が決まっています
自動車の使用者は、継続検査を申請しようとする場合において、第六十七条第一項の規定による自動車検査証の変更記録の申請をすべき事由があるときは、あらかじめ、その申請をしなければならない。
「あらかじめ」=先に変更記録、あとで継続検査。名義変更を後回しにして車検だけ先に通すことはできません。同じ日に両方やるなら、窓口で最初に「変更記録と継続検査を両方お願いします」と伝えてください(名義変更のやり方)。
予約する
自動車検査インターネット予約システム(国土交通省)で予約します。
ラウンド(1日を区切った時間帯)
| ラウンド | 目安の時間 |
|---|---|
| 1ラウンド | 8:45〜10:00 |
| 2ラウンド | 10:15〜11:45 |
| 3ラウンド | 13:00〜14:15 |
| 4ラウンド | 14:30〜16:00 |
支局により3区分のこともあります。
理由は単純で、落ちたときに同じ日にもう一度受けられるからです。継続検査は同じ日なら再検査が受けられます(回数に限度あり)。4ラウンドで落ちると、その日はもう終わりで出直しになります。
満了日の1か月前より前に受けると、有効期間が「受けた日から2年」になります。1か月以内なら「満了日から2年」です。早すぎると、その差の分だけ損をします。
予約は2週間前から取れます。月末・3月は埋まるのが早いので、余裕をもって押さえてください。
持っていくもの
| 持ち物 | 備考 |
|---|---|
| 自動車検査証 | ICカード(電子車検証) |
| 自賠責保険証明書 | 新しい期間のもの。古いものも一緒に(第6章) |
| 軽自動車税(種別割)納税証明書 | 第7章 |
| 予約番号 | 控えかスマートフォンの画面 |
| 印鑑 | 認印 |
| 定期点検整備記録簿 | 後整備なら不要な場合も。窓口で確認 |
| お金 | 重量税・検査手数料。現金で約15,000円 |
当日、窓口でもらう書類——継続検査申請書(OCRシート・3号様式)/自動車検査票/自動車重量税納付書。事前に用意する必要はありません。
検査ラインではバイクにまたがったまま操作します。動きやすく汚れてもいい服装で、グローブを持っていってください。プラスドライバーと10mmレンチがあると、その場の小さな調整に使えます。
自賠責を切らさない——最大の落とし穴
法第58条第1項が「有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ運行の用に供してはならない」と定め、自動車損害賠償保障法第5条が「責任保険の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない」と定めています。車検証の有効期間が、自賠責の期間からはみ出してはいけないわけです。
だから実務では、車検の期間(2年)を丸ごとカバーするように、24か月または25か月の自賠責に加入します。25か月を選ぶ人が多いのは、1か月の余裕をつくって「1日足りない」を防ぐためです。
- やること:車検の日の前に、新しい自賠責に加入しておく
- どこで:バイク用品店、保険代理店、運輸支局の近くの代理店、一部のコンビニ
- 持つもの:今の自賠責証明書、車検証
古い自賠責証明書も持っていってください。運輸支局の敷地内や周辺に代理店があることが多いので当日その場でも入れますが、混んでいると時間を食います。前日までに済ませておくのが安全です。
なお、窓口で自賠責証明書の提示を求められるのは慣習ではなく法定の義務です。自動車損害賠償保障法第9条第1項が、道路運送車両法第62条第2項などの処分を受けようとする者に提示義務を課しています。詳しくは バイクの自賠責 へ。
軽自動車税の納税証明書
自動車の使用者が第六十二条第二項……の規定により自動車検査証の返付を受けようとする場合……には、当該自動車の使用者は、当該自動車の所有者が当該自動車について現に自動車税又は軽自動車税の滞納……がないことを証するに足る書面を提示しなければならない。
3 国土交通大臣は、第一項の書面の提示又は前項の納付の事実の確認がないときは、自動車検査証の返付をしないものとする。
「返付をしない」=車検が通らないということです。滞納があると、その場で止まります。
四輪の普通車が納める自動車税(種別割)は電子化が進んでいますが、軽自動車税は市区町村ごとの管理なので、いまも紙で確認する運用が残っています。5月に届く納税通知書の右側にある「納税証明書」の部分を、切り取らずに保管してください。コンビニ払いをすると、そこに領収印が押されます。
- 紛失した場合——市区町村の窓口で再発行できます。手数料がかかる自治体もあります
- 納付直後——システムに反映されるまで1〜2週間かかることがあります。滞納分をあわてて払って翌日に車検、というのは危険です
当日の流れ
継続検査申請書/自動車検査票/自動車重量税納付書
所要時間は、順調なら1〜2時間。落ちて再検査になるとその分伸びます。
窓口はおおむね11:45〜13:00に閉まります。午前に行くなら11時まで、午後は13時以降に着くようにしてください。受付は16時ごろに終了する支局が多いです。
検査ラインで見られること
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 同一性の確認 | 車台番号・原動機の型式が書類と一致するか。目視で照合します |
| 外観検査 | 灯火類(ヘッドライト・ウインカー・ブレーキランプ・ナンバー灯)、ミラー、ホーン、タイヤの残溝、マフラーの状態 |
| サイドスリップ | 二輪では省略されることが多い |
| ブレーキ | 前後それぞれの制動力をローラーで測定 |
| スピードメーター | 40km/hでスイッチを押す |
| ヘッドライト光軸 | いちばん落ちる項目(対策はこちら) |
| 排出ガス | 年式により対象。プローブをマフラーに入れる |
検査官が「ウインカー右」「ブレーキ」などと指示してくれます。教えてくれます。これはユーザー車検で最も伝えたいことです。検査官は落とすためにいるのではなく、基準に合っているかを見るためにいます。
落ちたときは
その場で不合格の箇所を教えてもらえます。同じ日のうちなら、その日の残りのラウンドで再検査を受けられます(回数に制限があります)。だから1ラウンドを取るのです。
- 光軸のズレ——支局の近くにあるテスター屋(予備検査場)で調整してもらえます。1,000〜3,000円程度、10分ほど。調整してもう一度並べば通ります
- その日のうちに直せない場合——限定自動車検査証を発行してもらえば、15日以内に不適合箇所だけの再検査で済みます
「テスター屋 ○○(支局名)」で検索すれば見つかります。先に光軸を合わせてから並ぶだけで、通過率が劇的に上がります。